今、まさに帰りのJRの中でこの記事を書いてる。
おっさんは激怒している。
疲れ切った足は貧乏ゆすりがおさまらず、酷使したスマホは充電残りマーク赤へ変わり、冷や汗をかいたトップスは異臭を放つ。
隣の座席の就活生は隣に人などいないかのように大股を広げ、優先席のおじいさんは午前中なのに居眠りをはじめ、おばさん達は会話しながら唾を飛ばしあい、外国人は陽気に歌った。
幸せな世界はここにあった。
琵琶湖は相も変わらず波はなく、山科の山は尊く偉大だ。京都は舞妓さんに支配され、大阪はハリーポッターの魔法にかかっていた。
世界は言葉を失い、僕も言葉を失っている。
涙は枯れはて、疲れ切った男のなれのはて。
僕は大好きダレノガレ。
怒りと切なさと、鉄血にして熱血にして冷血さを覚えたその時、、おっさんの文才は爆発する。
長くなったな。
そう、始まりは順調であった。
本日AM9時前頃、
滋賀県の膳所駅に到着。大津駅のおとなりだ。
駅から徒歩20分ほど歩く。
旅のGOALはそう、本日Vリーグ(プレミアリーグ)女子バレーが行われる、ウカルちゃんアリーナ(滋賀県立体育館)だ。
「へぇ、大津市の街並みって田舎さもあって丁度ええなぁ」
「おっふ!あれ大津パルコやん!向かいにはレイクビューのマンションも!この辺りの住環境最高やな☆」
余裕をぶっこいていた。心が弾んでいた。将来家を買おうと思った。
そんなとある晴れた日だった。
滋賀県立体育館到着。
あぁ、女子バレーの垂れ幕だ・・・なつかしい。
東レ一色。地元の雄。青い弓矢。
「さっそくみんな並んでるやないか!列がすごいことになってるぞ!早く最後尾探して後ろに並ばないと。
さすが木村沙織引退効果!サオリン!日本の宝!財宝だ!」
私には事前情報があった。
どこぞのネットの画像である。
「なるほどね。
今大会は当日入場整理券先着順配布型の形式だ。
整理券の列をつくるわけだ。
今9時過ぎくらい。
なんかあそこで、みんながずらーっと並んでいるのはきっと【10時に配布する】用の列なんだ。
そうに違いない、そうに違いないったら!」
私はダッシュでその列の最後尾に行った。
このような各体育館のチケットの流れの把握は、とても情報が少ない女子バレー情報界の貴重な財産である。
財宝だ!
「どうせ、みんな買い方を知らないからギリギリに来場して、整理券もってないがゆえにチケットを買えず泣き崩れるんだろうな、
へっ!」
私は並んでいる。
立ったり座ったり、雑誌を広げたり閉じたり、スマホを見たり見なかったり。
久々だ。こんな退屈な時間。
それもこれも、チケットを入手するためだ、頑張ろう。
10時になった。
開かない。
目の前の入口があかない。
「きっと、中で配布する整理券がどこかにいってしまったから探してるんだな。
もう~スタッフさん、おっちょこちょいなのはわたくしおっさんだけにしてくれよ~」
気長に待つ。
10時20分頃
「おっふ。あれ、よくよく見るとなんか紙切れを手にしてる人が並んでいるな。なんでだ??
・・・・きっと親族だな。木村だ!木村家ってことだな!なんか背もデカイし、いろんなとこデカイし、親族枠で事前に裏チケットGETしてるんだな!」
10時40分頃
「いいかげん、おかしい・・・開かない・・・
待てよあの整理券情報は古い情報かもしれない!
今年からチケット整理券配布はなくなって、この並んでいる順番通りに入場できるんだな!
いやーわかりやすいシステム、先着順だ!よし4,000円だけ握りしめて準備しておこう!」
11時、入場口解放。
列が進み、私の番だ。
女「チケット拝見してます」
おっさん「当日券くーださい。」
女「・・・チケットございますか?」
おっさん「当日券1枚くーださい。」
女「申し訳ありません。こちらは入場のみです。
当日チケットは〝あちらで販売しておりました〃が、完売しております。」
おっさん「・・えっ、、つ、、な、、おっふfsfふぇふぁ…ふにー!」
急いで看板を確認しに行った。
こ。。。これは。。。
そう、入場口「ではない」場所に当日券チケット販売所があったのだ。
どうーゆーこと?!??!
しかも、枚数すくね?!?!?!
ばばあの罠「もう本日は完売だよ」
じじいのやさしさ「ここ最後尾でーす」
ネットを確認した。
「はぁはぁ・・・、誰も信じられない。ネット君!君は裏切らないよね?!真実を、真実を教えてくれよ。
つまりチケットはすでに入手できる状態になってい
なっていた。チケットはすでに販売されていたのだ。
答え合わせをすると、私がずっと並んでいたのは既にネットか何かでチケットを買って持っていた人の列。入場の為の列。だから10時に開く訳はなく、11時の会場時間に予定通り開いた。
私みたいに当日チケットを買うべき人間は、整理券などいらず(というか今年は存在せず)、当日券販売ブースに直行して78枚の残チケットから素早くゲットすべきだったのだ。
これがこの物語の結末。
アホ物語のありゃりゃりゃぎ君だ。
あとで係員に聞いたら、おっさんみたいな意味不明に並んでしまった人が4人くらい発生したらしい。
2時間ただ立っていただけ。
2時間立った後に、帰宅。
情けない・・・
膳所駅への帰り道。
「チケットを持って」これから体育館に向かう連中(女子高生の部活かな)とすれ違った。
なんの将来の不安もない清廉とした表情だった。
『 この世の中を……、うわ … うわわあぁーん! この、この世の中ああーぁッ! うわあああーああ! この……世の中……、ああーッ! 世の中をッ……変えたい!』
空は青い。
いつか、いつの日か入場できなかった4人が手を組み、
勇者と僧侶と僧侶と僧侶のようなパーティーを組み、立ち上がる。